現状:縮小する未来
日本の子供の数は43年連続で減少し、過去最低を更新し続けています。このセクションでは、長期的な人口動態のデータを通じて、日本の少子化がいかに深刻な状況にあるかを探ります。
15歳未満の子供の数 (2024年)
1,401万人
43年連続で過去最少
総人口に占める子供の割合 (2024年)
11.3%
47年連続で低下
合計特殊出生率 (2023年)
1.20
過去最低を更新
子供の人口と割合の長期推移
世帯構造の変化 (1980年 vs 2022年)
なぜ子供が減るのか? 4つの壁
少子化は単一の理由ではなく、経済、結婚、仕事、価値観といった要因が複雑に絡み合って進行しています。ここでは、人々が直面する「壁」をテーマに、その背景を掘り下げます。
経済の壁:所得と費用のプレッシャー
若年層の経済的な不安定さや、高騰する教育費・住宅費が、結婚や出産への大きな障壁となっています。
社会への影響:未来への負債
少子化は、労働力不足、社会保障制度の危機、地域社会の衰退など、社会のあらゆる側面に深刻な影響を及ぼします。
2070年の人口ピラミッド予測:超・肩車社会へ
現在の状況が続けば、2070年には生産年齢人口(15-64歳)の割合が約半分にまで落ち込み、1人の高齢者を1人以上の現役世代で支える「肩車社会」が到来します。
経済成長の停滞
労働力不足と国内市場の縮小により、経済が「縮小均衡」に陥るリスクが高まります。
社会保障の危機
増え続ける高齢者を減り続ける現役世代が支える構造は、年金・医療・介護制度の持続可能性を脅かします。
地域社会の衰退
インフラの維持困難やコミュニティ機能の低下が進み、「消滅可能性都市」が増加します。
解決への道筋
国の「こども未来戦略」に加え、地域の実情に合わせた独自の取り組みも始まっています。多角的で抜本的な対策が急務です。
希望の光:地方自治体の成功事例
岡山県奈義町
手厚い現金給付や独自の不妊治療助成など、長年の手厚い支援で合計特殊出生率がV字回復。本州トップクラスを維持。
千葉県松戸市
「駅ナカ・駅チカ」保育所の整備で9年連続待機児童ゼロを達成。所得制限なしの医療費助成も充実。
山梨県北杜市
保育料の第二子以降無料化や住宅取得補助など、経済支援と就労支援を組み合わせ、移住・定住を促進。
私たちに求められること
少子化は個人の選択の問題だけでなく、社会全体の構造的な課題です。経済的支援の強化、働き方改革、そして何よりも社会全体で子育てを支えるという意識の醸成が、未来を変える鍵となります。